ナノ粒子トラッキング分析(NTA)式粒度分布測定器 Envision

概要

ナノ粒子トラッキング分析(Nano particle Tracking Analysis:NTA)法は、液中に分散している1つ1つのナノ粒子のブラウン運動を解析することにより、各粒子の粒子径を計測する技術で、ナノ粒子の粒度分布及び、個数濃度を高精度で測定できることで知られています。
Envisonは、光学システムを高性能化することにより、検出下限および蛍光検出性能の向上と、優れた再現性を実現した次世代のナノ粒子トラッキング分析(NTA)式粒度分布測定器です。装置内に内蔵されたサンプルポンプと、密閉されたサンプルセルデザインにより、気泡の発生を防ぎ、簡便な操作性も実現しています。


Envision

特長

  • 高感度測定の実現
     Envisionは、光学的に形成された光シートを利用することにより、S/N比の高い高品な画像を得ることができるため、より小さな粒子の検出が可能です。
  • 優れた再現性
     優れた光学系は、測定再現性の高さも示します。
    44nmと81nmのポリスチレンラテックス粒子を10回ずつ測定した例です。
  • 測定例


  • 簡便な操作性
     測定は、サンプルを吸引したピペットチップを測定口に差すだけです。Envisionには、シリンジポンプが内蔵されており、シリンジポンプがサンプルを測定部まで吸引します。内部流路は密封されており、気泡の混入を避けることができます。

  • 信頼性の高い蛍光測定
     Envisionは、高感度検出能力に加え、蛍光測定時にレーザー出力を調整することで、蛍光ブリーチング(光退色)を避けることができるため、蛍光モードにおいても信頼性の高い測定ができます。
    蛍光モードでの測定例は、こちら〔 細胞外小胞の測定例(光散乱モードと蛍光モードでの測定)〕をご覧ください。


ナノ粒子トラッキング分析とは

液中に分散しているナノ粒子は、ブラウン運動により不規則な動きをし、自由に拡散しています。粒子のブラウン運動の動きは、粒子径に依存し、粒子径が小さいほど激しく動き、大きな粒子はゆっくり動きます。
つまり、ナノ粒子のブラウン運動を追跡し、解析することで、ナノ粒子の粒子径を計算することが出来ます。粒子の追跡は、ナノ粒子にレーザー光を照射した際に生ずる光散乱もしくは、蛍光現象を光学系カメラ(Envisionは高感度sCMOSカメラを搭載)で、撮影することにより行います。

ナノ粒子のブラウン運動による不規則な運動を追跡することで、ナノ粒子1つ1つの拡散係数を求めることができます。拡散係数と粒子径の関係は、以下のStokes-Einsteinの式で定義されますので、ナノ粒子1つ1つの粒子径を求めることができます。

式

D:拡散係数、kB:ボルツマン定数、T:絶対温度、η:溶媒の粘度、d:粒子径

測定対象

  • 細胞外小胞
  • DDSナノ粒子
  • 蛋白質凝集体
  • ウイルス、ワクチン
  • ナノ材料
  • ナノバブル

仕様

仕様表
粒子径測定範囲 (10~1,000) nm(サンプル及びレーザーに依存)
濃度範囲 10^5~10^9粒子/mL
測定精度 ±5 nm(100 nmポリスチレンラテックスの場合)
再現性 ±2 nm(100 nmポリスチレンラテックスの場合)
最小サンプル量 200 µL
適応pH範囲 2~12
光源波長 405 nm、488 nm、532 nm、633 nmより1つもしくは2つまで選択可能
カメラ 高感度sCMOSカメラ
寸法 W25 × D36.8 ×H17.8 (cm)

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