多角度光散乱検出器 DAWNシリーズ

多角度光散乱検出器(Multi Angle Light Scattering:MALS)は、静的光散乱法により、各種高分子の絶対分子量、分子サイズ、第2ビリアル係数(バッチのみ)を測定します。
お手持ちのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)と接続し、検出器としてのご使用は勿論、高性能の静的光散乱測定器としてバッチ測定にも対応します。 検出器を18角度設置したDAWN、8角度に設置したDAWN8+、3角度に設置したminiDAWN、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)に対応したmicroDAWNとラインナップを取り揃えています。


DAWN


microDAWN

特長

標準品を必要としない絶対測定

静的光散乱法は、高分子の分子量を直接測定する絶対測定法です。従来のSEC(GPC)法とは異なり、構造の影響やカラムの吸着の影響を受けることなく、正確な分子量を測定できます。

バッチ測定、フロー測定の双方に対応

SEC(GPC)やFFFシステムの検出器として、フロー測定(SEC-MALS、GPC-MALS、FFF-MALS)に対応することは勿論、高性能のバッチ式静的光散乱測定器としてもご使用頂けます。

セル洗浄用超音波洗浄器を内蔵

測定後に超音波洗浄器を使用することで、セル内に汚れが付着することを防止し、常に安定したデータ測定を実現します。

動的及び静的光散乱の同時フロー測定を実現(オプション)

オプションの動的光散乱モジュールWyatt QELSを内蔵することにより、動的及び静的光散乱の同時フロー測定を実現します。

高感度、高安定性を誇る世界標準の多角度光散乱検出器

30年以上もの間、フロー式光散乱検出器をリードしてきたWyatt Technology社が多くの経験と最新技術を駆使して開発した多角度光散乱検出器です。世界中で多くの研究者に愛用されている世界最高グレードの光散乱検出器です。

最新のインターフェイス

最新のフロントパネルディスプレイは、スワイプ機能やズーム機能を有し、スマートフォンのように使用できます。表示画面は、カスタマイズ可能で、現在の装置の状態確認、コントロール、クロマトの確認などを行えます。
またシステム準備モニターは、カラムの平衡化、移動相のノイズなど、現在のシステムの状態を測定者に伝え、問題を生じている際には、元に戻すためのガイドをします。その為、常に最適な状態で分析を行うことができます。

モニタイメージ

アプリケーション

合成・天然高分子

  • 絶対分子量、分子サイズ(回転半径)分布測定
  • 溶液中の分子形態解析
  • 分岐度測定
  • 第二ビリアル係数の測定

タンパク質

  • 溶液中の会合数の決定
  • タンパク質複合体の分子量測定
  • タンパク質の凝集体の検出と分子量決定
  • 溶液中の相互作用解析

測定原理

高分子溶液に光(レーザー)を照射すると、その光と同じ波長で散乱(レイリー散乱)します。その光散乱の強さ(光散乱強度)は、分子量の大きさに関係します。HPLCのような希薄な濃度条件下では、光散乱強度、散乱角度、分子量の基本関係は、以下の式で表せます。

光散乱強度、散乱角度、分子量の基本関係の式

ここで、

  • R(θ):過剰還元散乱強度
  • C:試料濃度(g/mL)
  • Mw:重量平均分子量
  • A2:第2ビリアル係数
  • K*:光学パラメーターで、4π2n02(dn/dc)2/[λ04NA]で表せます。
  • n0:溶媒の屈折率
  • dn/dc:屈折率の濃度増分
  • NA:アボガドロ数
  • λ0:真空中での入射光の波長
  • P(θ)は、分子内干渉因子の関数で、散乱光の角度依存性に関係します。低角度の領域では、この変化は根平均二乗回転半径<rg2>に依存します。

HPLC測定のような希薄濃度条件下でのK*C/R(θ)とsin2(θ/2)のプロットは、その切片から重量平均分子量Mwが、低角での初期勾配から回転半径<rg2>が求まります。

グラフ

SEC(GPC)-MALS測定フロー図

お手持ちのSEC(GPC)システムに接続することができます。分子量を得るためには、光散乱強度及び試料濃度情報が必要となるため、試料濃度を得るための示差屈折率検出器(RI)もしくはUV検出器を直列に繋ぐ必要があります。

Optilabは、光散乱測定用のRI検出器です。これは、ご使用中のRI検出器でも代用可能です。

SEC(GPC)-MALS測定フロー図

データの表示例

(SEC(GPC)-MALS)

下図は、多分散ポリスチレンの測定結果で、溶出時間と光散乱法により測定した分子量の関係をしめした図です。点線が光散乱のクロマトグラム、実線がRI検出器のクロマトグラムです。斜めの線は、溶出時間における分子量(左縦軸)をプロットしたものです。

データの表示例(SEC(GPC)-MALS)のグラフ

(Zimmプロットの作成、バッチ測定)

静的光散乱法におけるバッチ測定は、既知濃度の試料溶液の各角度の光散乱強度をプロットし、以下に示すようなZimmプロットを作成します。Zimmプロットのゼロ濃度、ゼロ角度の切片から、分子量(M)を、無限ゼロ濃度における光散乱強度の角度依存性(赤線)の傾きから回転半径(Rg)が、ゼロ角度における光散乱強度の濃度依存性(緑線)の傾きから第二ビリアル係数(A2)が求まります。

データの表示例(Zimmプロットの作成、バッチ測定)のグラフ

仕様

仕様
  DAWN DAWN8 miniDAWN microDAWN
接続可能装置 HPLC、FFF、FPLC HPLC、FFF、FPLC HPLC、FFF、FPLC UHPLC、HPLC
検出器数 18 8 3 3
分子量測定範囲 200~1GDa(蛋白質) 200~300MDa(蛋白質) 200~10MDa(蛋白質) 200~10MDa(蛋白質)
200~100MDa(直鎖高分子) 200~10MDa(直鎖高分子) 200~1MDa(直鎖高分子) 200~1MDa(直鎖高分子)
回転半径測定範囲 10~500nm 10~300nm 10~50nm 10~50nm
使用可能溶媒 HPLCで使用可能な全溶媒
温調(オプション) -15~150℃(オプション) 室温 室温
室温~210℃(オプション)    
寸法 58(L) × 36(W) × 26(H) 58(L) × 36(W) × 18(H)
試料のdn/dc、濃度、コンフォメーション、クロマトグラフィーの状態に依存します。

オプション

動的光散乱モジュールWyatt QELS

動的光散乱モジュールWyatt QELS外観写真

Wyatt QELSは、多角度光散乱検出器DAWNシリーズに内蔵可能な動的光散乱モジュールです。Wyatt QELSを用いることにより、フローモードでの動的光散乱測定を実現します。

DynaPro NanoStar、Mobiusにも同様の機能がございます。

フローDLS測定例

フローDLS測定例のグラフ

DLSモジュールWyatt QELSを内蔵させることにより、DAWN単体では、測定できない半径10nm以下の試料のサイズ情報を得ることができます。

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