フィールド・フロー・フラクショネーション(FFF)システム Eclipse

概要

フィールド・フロー・フラクショネーション(FFF)システム Eclipse外観写真

フィールド・フロー・フラクショネーション(FFF)法は、ナノ粒子や各種高分子を分離する手法です。FFF法は、分離部に充填剤などの固定相を含んでおらず、SEC(GPC)などでは分離困難なナノ粒子やイオン性の高い高分子も容易に分離できます。
Eclipseは、FFF法を高再現性、高精度に実行するために開発されたシステムです。多角度光散乱検出器と組み合わせることで、ナノ粒子の真の粒子径分布測定、粒子個数分布測定、粒子形状解析、巨大高分子の分子量分布測定、分岐度解析などが行えます。

特長

ナノ~サブミクロン粒子、高分子、蛋白質などをサイズ分離します

SEC(GPC)では分離困難な試料の分離分析に適応します。

高分解能粒度分布測定を実現します

多角度光散乱検出器(MALS)を接続することにより、バッチ式測定法では得られない高分解能粒度分布測定を行えます。またUV検出器等により、定量分析にも対応します。

ナノ粒子の粒子形状情報を提供します

動的光散乱モジュールWyatt QELSを搭載した多角度光散乱検出器を接続することで、分離したナノ粒子の形状(剛体球状、棒状、ベシクル構造などの判別が可能)が判ります。

目的に応じた豊富な分離チャンネルラインナップ

用途に合わせて、5種類の分離チャンネルを選択できます。

  • ショートチャンネル:ナノ粒子や蛋白質を効率的に分離します
  • ロングチャンネル:大きな粒子または高分子の分離に適します
  • ディスパージョンインレットチャンネル:凝集しやすい試料の分離に適します
  • セミ分取チャンネル:サンプル負荷量をmgレンジまで増やせます

チャンネル外観

操作性に優れたソフトウェアVISION

VISIONは、FFF測定を実行する包括的なソフトウェアです。以下の機能が含まれています。

  • Eclipseシステムの制御
  • 光散乱解析ソフトウェアASTRAとの連動
  • FFF法による分離シュミレーション
  • FFFの保持時間から粒子径分布の算出

ソフトウェアVISION

アプリケーション

  • 遺伝子ベクター、ワクチン、細胞外小胞などの粒子径、濃度、内包率
  • 蛋白質凝集体の検出
  • ナノ粒子の粒子径分布、定量
  • 合成高分子の分子量、分岐度解析

測定原理

測定原理イメージ

非対称フロー型FFF(AF4)の分離は薄板状のスペーサーと上下2つのブロック(下側には浸透性がある)で構成された分離チャンネル内で行われます。試料(粒子)の分離は、移動方向に対して垂直の力場を発生させることにより生じる層流中の移動速度の差に基づいて行われます。垂直の力場(クロスフロー)を掛けると、試料は下壁の方向へ移動します。この時、試料は濃縮される一方で、濃度を均一にしようとブラウン運動由来の拡散力が力場に反して働きます。やがて試料は平衡状態に達しますが、拡散係数の大きい(移動速度の速い)小さな粒子ほど、下壁から離れた位置で平衡状態になります。ここに層流を発生させると分離チャンネル内の流れは,壁面が遅く中央部が早い放物線状の流れとなり,拡散係数の大きい小さな粒子ほど先に溶出します。
AF4における試料の保持時間tRは、流速が継時的に一定で、保持力が十分に高い場合,次の式で定義されます。

式

ここでwはチャンネル(スペーサー)の厚み、Dは試料の拡散係数、Fcはクロスフロー(垂直力場)の流速、Foutは検出器フロー(移動方向)の流速です。つまり垂直方向と移動方向の流速を正確に制御することで、保持時間を制御でき、分解能も制御できます。

オプション

希釈制御モジュール(Dilution Control Module:DCM)

希釈制御モジュール(DCM)は、試料を含まない上壁付近のチャンネルフローの一部を厳密に調整された方法で分割することにより、分離チャンネルから溶出する試料の濃度を標準FFF分離よりも濃くすることができます。微量試料の測定に有用です。

DCMグラフ

DCMは、試料の損失や分解能を落とすことなく、試料が含まれない溶媒を除去することにより、検出器での試料濃度を高めます。

SEC切り替え機能

EclipseにSEC切り替え機能を付加することにより、同一のシステムで、FFF-MALS測定とSEC-MALSシステムの双方を行えます。

電場式FFFユニット Mobility

非対称フローFFF(AF4)の分離モードに電場による力場を加えることにより、粒子の大きさだけでなく、電荷の違いでも分離することが可能です。詳細は電場式FFFユニットMobilityページをご覧下さい。

詳細は、Eclipseシステムのカタログをご覧下さい。

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