ポリメチルメタクリレートの分岐

ポリマーの分岐の度合とその分布は、ポリマーの物性と化学的特性に影響します。 DWAN DSPまたはminiDAWNをGPC(SEC)と接続して用いる方法は、分岐度(gM)を直接測定できる唯一の方法です。 分岐官能性がわかっていれば分子量の関数として分岐頻度を求めることもできます。 他の測定方法は間接的であり多くの仮定を基にしています。

従来のGPC(SEC)によるカラムキャリブレーション法を用いるには、未知サンプルと同じ組成と構造を持つスタンダードを用いる必要があります。 スタンダードが未知サンプルと異なる場合には、スタンダードにより作成されたキャリブレーションカーブを分子量計算に用いると相対的な結果を得ることになります。 そのためコンパクトで球状に近い分子は同じ分子量のランダムコイル構造の分子より遅い時間に溶出し相対的な分子量は小さく求められます。 光散乱は絶対法なので分岐パラメーターを仮定を設けずに測定できます。 分岐度は単純に、同じ分子量の分岐ポリマーの平均二乗半径と直鎖ポリマーの平均二乗半径の比と定義されています。

gM = ( < r2 > b / < r2 > l )

DAWN によって決定された分子量と分子サイズは直接分岐度に影響します。 同じ分子量の直鎖の分子に対して、分岐の度合いが大きい分子は分岐度が小さくなります。

DAWNをGPC(SEC)装置に接続して用いると、直鎖ポリマーと分岐ポリマーの両方の分子量および平均二乗半径の測定ができます。 Wyatt社のASTRAプログラムは異なった分岐官能性ポリマーのgMを計算します。 ASTRAは三官能性または四官能性分岐と仮定して長鎖分岐頻度(λ)と同様に分子ごとの分岐の数(Bw)を計算します。

ポリメチルメタクリレート(Poly(methyl methacrylate), PMMA)について、直鎖PMMAと分岐PMMAをGPC(SEC)装置に接続して測定したのが下図です。 同じ分子量でも分岐の違いによって著しく分子サイズが異なっています。 分岐PMMAは分子量が大きくなっても分岐のため比較的分子サイズが大きくならないことが良くわかります。 分子サイズと分子量の関係(RMS Radius vs. M.W.)で見ると分岐ポリマーは傾きが緩くなってくることがわかります。

ポリメチルメタクリレートの分岐

図1:同じ分子量分布を示す直鎖と分岐のPMMAでは非常に大きさが異なります。

分子量の関数としての分岐度gM

図2:分子量の関数としての分岐度gM

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