リグニン

リグニンは、維管束植物の木部に特に多量に含まれる物質です。 自然界に存在するバイオポリマーとしては、セルロースに次いで多く存在します。 リグニンスルフォネイトのようなリグニンの誘導体には、クラフト紙の製造から、自動車用の特殊フィルターまでの多くの工業的な用途があります。

リグニンの重量およびサイズ分布により、どのような応用分野に適しているかが決められます。 リグニンのモル分子量、分子サイズおよびそれらの分布を求めるには、サイズ分離クロマトグラフィーと光散乱検出器とを組合せた、SEC-MALSが最も適した方法であるといえます。

リグニンは、非常に大きな吸収を示し、そのうちのかなりの部分は、蛍光のようなより長い波長で再放射されます。 この現象は、光散乱の検出結果に影響を与えるため、通常の光散乱検出器では処理する事が出来なくなります。 DAWN DSP では、前部レーザー・モニターで吸収を測定することができ、各検出用ダイオードの前に設置された狭い波長帯用の干渉フィルターが蛍光放射の効果を取り除きます。

図1には、リグニンスルフォネイトについて、干渉フィルターを通さない場合の蛍光放射の効果を含んだ光散乱の信号の大きさを示します。 この実験においては、偶数番のダイオード(No.2~18)は干渉フィルターを取り付けて、入射レーザー光以外の全ての波長の光を遮るようにしました。 また、奇数番のダイオード(No.1~17)には、干渉フィルターは取り付けていません。 干渉フィルターの取り付けられていないダイオードの信号は、干渉フィルターの取り付けられたダイオードの信号に比べて大きくなっていることがわかります。

図2には、干渉フィルターを取り付けた場合と、取り付けなかった場合とについて、モル分子量の計算結果の比較を示しました。 この図より、リグニンのような蛍光ポリマーの分子量や分子サイズを測定する際の、蛍光効果の除去の重要性を示しています。

光散乱の信号の大きさ

図1:No.10のダイオードの信号は干渉フィルターを取り付ける事により蛍光放射の影響を取り除いています。 一方、No.11のダイオードには干渉フィルターを取り付けていません。両者の間には大きな差があります。

モル分子量の計算結果の比較

図2:偶数番のダイオード(フィルターあり)と奇数番のダイオード(フィルターなし)の信号から、モル分子量を計算した結果には大きな差があります。 RI検出器の信号を同時に示しました。

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