リポソームの特性解析

リポソームとベシクルは現在、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)のような医薬品から化粧品に至るまで幅広い範囲で使用され、多くのアプリケーションで大きな関心を集めています。 このノートはアメリカの食品・医薬品局(FDA)で現在、第二相の臨床試験段階にある医薬用リポゾームに関したものです。 医薬用リポゾームの品質、用途を決定する重要な要素として分子サイズ分布があげられます。 例えば医薬品関係では80-200nmが最適とされ、その測定には一般的に光子相関法(PCS)による粒度測定装置が使用されていますが、残念ながら粒度分布に関しての信頼性は高いとはいえません。 未分離のサンプルからの散乱光の揺らぎからサイズ分布を計算する光子相関法(PCS)と異なり、FFF/DAWNシステムは仮定を設けずに直接サイズ測定ができます。 FFFには固定相が無いのでGPCカラムを用いた場合のように充填剤の影響をまったく受けずに光散乱分析のためのサンプルを分離することができます。

ここではリポソームの粒子サイズ及び分布をフィールドフロー・フラクショネーション(FFF)と多角度光散乱光度計(DAWNR)を組み合わせたシステムを用いて測定しました。

本システムは、FFFによりサイズ分離を行い、DAWNRの18個の検出器における散乱光強度の角度依存性から粒子サイズを直接測定するので、サンプルの可溶、不溶を問わず粒子サイズ、分布を迅速かつ正確に測定することが可能となりました。

角度90度の光散乱検出器の信号と根平均二乗半径と溶出容量の関係を示したもの

図1:角度90度の光散乱検出器の信号と根平均二乗半径と溶出容量の関係を示したものでGPCとは逆にサイズの小さいものから溶出しています。

リポソームの粒度分布

図2:リポソームの粒度分布(根平均二乗半径の微分曲線)約95nmが中心ですが単分散ではなく、少なくとも180nmまでの分布を持っていることがわかります。

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