タンパク質の逆相クロマトグラフィーへの応用

逆相クロマトグラフィー(RPC)を用いてタンパク質の分析を行う手法は、HPLCの重要なアプリケーションの一つです。 逆相クロマトグラフィーを用いたサンブルの溶出順序は分離された分子のサイズや分子量に必ずしも依存しませんが、どちらかというと分子の疎水性に依存します。 そのため分子の溶出容量に基いて分離されたサンプルを同定することは一般的には不可能です。 各溶出分画は別の分離手段を用いてさらに分離されることがあります。 タンパク質分子の動態についての知繊を得るためにゲル電気泳動や質量分析計を用いて分析されることがあります。

HPLCシステムにDAWN(r)DSP又はminiDAWN(r)多角度光散乱検出器を付加することによりタンパク質の同定を非常に容易にします。 UV検出器とDAWN(r)DSP又はminiDAWN(r)を接続することにより直接、絶対分子量と分子サイズの測定ができます。

図1は0.2当量のDTNBによって生じた特定の酸化度を持ったbasic Fibroblast Growth Factor(bFGF)のクロマトグラムです。 最初の2つのピークの光散乱信号の出カはUV信号の約2倍あります。 これに対して3番目のピークでは2つの信号の出カは、ほぼ同じです。 これは3つのピークが左から右の順にbFGFのダイマー(2量体)2つのタイプとモノマー(単量体)に相当することが一見できます。 光散乱検出器のソフトウェアASTRAを用いた計算から各ピークの分子量は33k、34k、17kダルトンを示しました。

図2は4種類の酸化度の異なるbFGFから得られた分子量対溶出容量の重ね書きを示しています。 2量体、3量体、4量体などの存在が碓認できますが溶出容量との関係は一貫性がありません。 クロマトグラフイーシステムはポンプ、デガス、オートインジェクター、UV検出器とminiDAWN(r)3角度光散乱検出器で構成されています。 Vydac Protein C-44.6×150mm 300Aカラムを用い0.7ml/min流速で測定しました。 miniDAWN(r)で行われる光散乱測定により各ピークの絶対分子量が求められます。 さらに溶出分画の根平均2乗半径(rms半径、分子サイズ)も測定できます。 例えばbFGFの5量体のrms半径が約13nmであることがわかり、85Kダルトンの多量体が棒状(ロッド)構造を示すこともわかります。

要約すると逆相クロマトグラフィーに多角度光散乱検出器を付加することにより各溶出分画の分子量の絶対測定、異なったmultimeric formsの検出、同定と分離された分子のサイズと構造を知ることができます。

図1:グラジェントによるベースラインのシフトを補正した90゜光散乱信号つきのbFGFのUV信号(AUX1)

図2:4つの異なった酸化条件下で調整されたbFGFのピーク部分の絶対分子量

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